建設業許可とは、一定規模以上の建設工事を請け負うために必要となる許可です。大きな工事を請けたい場合や、元請けさんから要請をされた場合などに取得を検討するケースが多いでしょう。
では、建設業許可を取得するには、どのような要件を満たし、どのような流れを踏めばよいのでしょうか。
この記事では、建設業許可について、行政書士がくわしく解説します。
建設業許可とは
建設業許可とは、一定以上の建設工事を請け負うために必要となる許可です。
建設業許可が必要な工事を仮に無許可で受けてしまえば、3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処される可能性があるほか、法人の場合には法人に対して別途1億円以下の罰金刑が科される可能性があります(建設業法47条、53条)。
また、下の流れでも解説をするとおり、建設業許可は申請をしてすぐに受けられるものではありません。そのため、建設業許可が必要となりそうな場合には、早めから準備を進めることをおすすめします。
建設業許可はどんな時に必要?
建設業を営むからといって、必ずしも建設業許可が必要というわけではありません。
この点、仮に1人で細々と営むカフェなどであっても許可が必要となる飲食業許可などとは、大きく異なります。
では、建設業許可は、どのような場面で必要になるのでしょうか。許可が必要な場面と不要な場面は、それぞれ次のとおりです。
建設業許可が必要な場面
建設業許可が必要となる主なケースは、次のとおりです。
ケース1:建設業法上の「軽微な工事」以外の工事を請けたい場合
建設業許可について定めている建設業法では、「軽微な工事」のみを請けるのであれば、建設業許可は不要としています(建設業法3条)。
そして、建設業許可を取ることなく請け負える「軽微な工事」とは、次の工事です(建設業法施行令1条の2)。
- 原則:工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事
- 建築一式工事の場合:工事1件の請負金額が1,500万円未満の工事と、延べ面積が150平方メートル未満の木造住宅工事
なお、その工事が「軽微な工事」かどうかを判定する際には、次の点に注意しましょう。
- 1件の工事ごとに判断する(正当な理由がないのに工事を分けたり請求書を分けたりして500万円未満にしたからと言って、合法になるわけではない)
- 税込金額で判断する
- 注文者が材料を提供する場合には、その市場価格と運送賃を加えた金額で判定する
ケース2:元請さんから要請された場合
上で解説をした「軽微な工事」のみを請け負うのであれば、建設業許可を取得する必要はありません。
しかし、たとえ軽微な工事のみを請けている場合であっても、元請けさんから建設業許可を取るよう要請される場合もあるでしょう。この場合には、事実上、許可を取らざるを得ないかと思います。
実際、この理由によって許可を取りたいというお問い合わせも、少なくありません。
ケース3:自社の企業価値を高めたい場合
建設業許可を取得することで、外部にアピールしやすくなる可能性があります。
顧客へのアピールとなるのはもちろんのこと、ほかにも求職者にアピールをしたり、金融機関に対してアピールしたりすることが考えられるでしょう。
建設業許可が不要な場面
建設業を営む場合であっても、法令の規定上、次の場合には原則として建設業許可を取得する必要はありません。
「軽微な工事」のみを請ける場合
建設工事を請ける場合であっても、上で解説をした「軽微な工事」のみを請ける場合には、建設業許可を取得する必要はありません。
ただし、それでも元請さんからの要請などにより実質的に許可を取得すべきこととなるケースがあることは、上で解説をしたとおりです。
いわゆる「人工出し」のみをする場合
建設業許可が必要となるのは、軽微な工事以外の「建設工事の完成を請け負う営業」をする場合です。
一方、「1日あたり(または1時間あたり)いくら」という単価で工事現場に人を派遣する業務(いわゆる「人工出し」)は、「建設工事の完成を請け負う営業」ではありません。
つまり、人工出しのみを行っている分には、その金額がいくらであれ、建設業許可は必要ないということです。
ただし、従業員を人工出しすれば労働者派遣に該当し、労働者派遣法に違反する可能性があります。また、そもそも建設業では労働者派遣が禁止されているため、何かの許認可を受ければクリアできるという問題でもありません。
建設業許可を取るための要件
建設業許可を受けるためには、どのような要件を満たせばよいのでしょうか。
ここでは、はじめて建設業許可を取得する大半のケースで申請することとなる、「一般建設業許可」の前提で解説します。
なお、元請けとして工事を請けて大きな金額を下請けに出す「特定建設業許可」を申請するためは、さらに厳しい要件を満たすことが必要です(許可の種類については、後ほどくわしく解説します)。
要件1:経営業務管理責任者がいること
建設業許可を取るために必要な要件の1つ目は、「経営業務管理責任者」が存在することです。経営業務管理責任者は「ケイカン」と略されることも多く、読んで字のごとく建設業の経営業務を管理する責任者を指します。
経営業務を管理する立場である以上、経営業務管理責任者となることができるのは、次の人でなければなりません。また、許可を受けようとする建設業者に常勤である必要があることから、他社の経営業務管理責任者や専任技術者などとなっていないことが必要です。
- 個人事業の場合:個人事業主本人
- 法人の場合:法人の常勤役員(監査役などは不可)
また、経営業務管理責任者となるためには、原則として次の経験が5年以上なければなりません。ただし、これらの経験は合計することができます。
- 建設業を営む個人事業主としての経験
- 建設業を営む法人役員(監査役などは不可)としての経験
つまり、次のパターンなどであれば、この要件をクリアできる可能性が高いでしょう。
- 建設業を営む個人事業を開業してから、5年以上が経過した
- 建設業を営む個人事業を2年営んでから、法人成りして3年以上が経過した(トータルで5年以上)
- 建設業を営む法人を設立してから5年以上が経過した
- 法人設立をしてから3年(5年未満)だが、建設業の個人事業主として5年以上の経験がある人を常勤取締役に迎え入れた
ただし、建設業許可を申請する際には自己申告のみでは足りず、過去の確定申告書や工事契約書(請求書+通帳などでも可)などの写しを提示して、「本当に事業を営んでいたこと」と「本当に建設業だったこと」を証明しなければなりません。
そのため、たとえ個人事業で長年建設業を営んでいても、確定申告をしていない場合などには事業を営んでいたことの証明ができず、建設業許可申請が困難となる可能性があります。
なお、複数人で適切な経営体制を整えることでこの要件を満たす方法も設けられましたが、こちらはまったくの新規の場合に利用することは困難です。たとえばもともと建設業の経営者であった親が急逝して急遽許可を引き継ぐ必要が生じたものの、後継者が役員登用されてから5年は経過していないという場合などに利用を検討する要件であると考えられます。
要件2:専任技術者を配置すること
建設業許可を取るために満たすべき要件の2つ目は、営業所ごとに専任技術者を配置することです。専任技術者とは、建設業の技術的な知見から工事の見積もりを出したり、工事契約を締結したりする役割を持つ人を指します。営業所に常勤である必要があるため、他社の経営業務管理責任者や専任技術者などを専任技術者とすることはできません。
ただし、専任技術者は経営業務管理責任者とは異なり、経営陣であることまでは求められません。そのため、特に役職のない従業員であってもOKです。とは言え、代わりの人がいない状態で専任技術者が突然辞めると許可を失ってしまいますので、人選は慎重に行うべきでしょう。
また、専任技術者は、上で解説をした経営業務管理責任者と同じ人であってもかまいません。実際に、ある程度の規模以上の建設業者様でない限り、経営業務管理責任者と専任技術者が同一の人であることが多い印象です。
専任技術者となることができる人は、次のいずれかの要件を満たす人です。
- 所定の資格を保有している者(資格によっては、資格+実務経験が必要)
- その業種の建設工事について10年以上の実務経験がある者
- 所定学科を卒業し、かつその業種の建設工事について5年(大学等の場合は3年)以上の実務経験がある者
所定の資格は申請する工事業種ごとに異なっており、国土交通省が出しているこちらの表から確認できます。
要件3:欠格要件に該当しないこと
建設業許可を取るために必要な要件の3つ目は、欠格要件に該当しないことです。欠格要件とは、1つでも当てはまってしまえば許可が受けられないという要件を指します。
建設業許可における欠格要件は、次のとおりです。
- 破産者で復権を得ないもの
- 第29条第1項第5号又は第6号に該当することにより一般建設業の許可又は特定建設業の許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者
- 第29条第1項第5号又は第6号に該当するとして一般建設業の許可又は特定建設業の許可の取消しの処分に係る行政手続法第15条の規定による通知があった日から当該処分があった日又は処分をしないことの決定があった日までの間に第12条第5号に該当する旨の同条の規定による届出をした者で当該届出の日から5年を経過しないもの
- 前号に規定する期間内に第12条第5号に該当する旨の同条の規定による届出があった場合において、前号の通知の日前60日以内に当該届出に係る法人の役員等若しくは政令で定める使用人であった者又は当該届出に係る個人の政令で定める使用人であった者で、当該届出の日から5年を経過しないもの
- 第28条第3項又は第5項の規定により営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
- 許可を受けようとする建設業について第29条の4の規定により営業を禁止され、その禁止の期間が経過しない者
- 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- この法律、建設工事の施工若しくは建設工事に従事する労働者の使用に関する法令の規定で政令で定めるもの若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定(同法第32条の3第7項及び第32条の11第1項の規定を除く。)に違反したことにより、又は刑法第204条、第206条、第208条、第208条の3、第222条若しくは第247条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
- 精神の機能の障害により建設業を適正に営むに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
- 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号又は次号(法人でその役員等のうちに1から4まで又は6から10までのいずれかに該当する者のあるものにかかる部分に限る)のいずれかに該当するもの
- 法人でその役員等又は政令で定める使用人のうちに、1から4まで又は6から10までのいずれかに該当する者(2に該当する者についてはその者が第29条第1項の規定により許可を取り消される以前から、3又は4に該当する者についてはその者が第12条第5号に該当する旨の同条の規定による届出がされる以前から、6に該当する者についてはその者が第29条の4の規定により営業を禁止される以前から、建設業者である当該法人の役員等又は政令で定める使用人であった者を除く。)のあるもの
- 個人で政令で定める使用人のうちに、1から4まで又は6から10までのいずれかに該当する者(2に該当する者についてはその者が第29条第1項の規定により許可を取り消される以前から、3又は4に該当する者についてはその者が第12条第5号に該当する旨の同条の規定による届出がされる以前から、6に該当する者についてはその者が第29条の4の規定により営業を禁止される以前から、建設業者である当該個人の政令で定める使用人であった者を除く。)のあるもの
- 暴力団員等がその事業活動を支配する者
非常に多く、読みづらい部分もありますが、個人事業者本人や法人、役員(監査役など以外)について、基本的にはまず次の事項を確認するとよいでしょう。そのうえで、何か気になる箇所があれば、より詳細を確認します。
- いま破産していないか
- 建設業許可を取り消されたり営業停止処分などをされたりしたことはないか
- 前科(原則禁錮以上、建設業法や刑法上の傷害・横領など一定のものは罰金以上)がないか
- 認知症などではないか(たとえば高齢で認知機能の衰えたお父様などが役員に入ったままになっている場合などに注意が必要です)
- 暴力団関係者ではないか
要件4:財産的基礎があること
建設業許可を取るためには、一定の財産的基礎を要していなければなりません。
一般建設業許可で必要な財産的基礎を満たす金額は、500万円です。実際には、次のいずれかの方法で500万円の財産的基礎があるかどうかが確認されます。
- 直前決算の自己資本の額が500万円以上であること
- 500万円以上の預金残高証明書の発行が受けられること
- 500万円以上の融資証明書の発行が受けられること
まず「1」で要件を満たすかどうかを確認し、満たしていない場合に「2」「3」と順次確認していくことになるでしょう。
要件5:必要な社会保険に加入していること
社会保険への加入は、以前は許可要件ではなく、たとえ適切な社会保険に加入していなくても加入するよう指導がされるにとどまっていました。
しかし、令和2年10月1日に施行された改正法により、現在は社会保険への加入が許可要件とされています。
建設業許可の申請をする場合には、あらかじめ国土交通省のホームページで加入すべき社会保険を確認し、加入手続きを済ませておきましょう。
建設業許可の種類と申請する許可の選び方
「建設業許可を取る」と言っても、実は建設業許可には非常に多くの種類が存在します。
許可の種類は、なんと116種類(一般と特定の2種類×知事許可と大臣許可の2種類×29業種)です。
まずは建設業許可の種類をよく理解したうえで、どの許可を取得するのか検討する必要があるでしょう。
一般建設業許可と特定建設業許可
建設業許可はまず、「一般建設業許可」と「特定建設業許可」に分類されます。
特定建設業許可は一般建設業許可よりもハードルが高く、これからはじめて建設業許可を申請する場合には、一般建設業許可を申請することがほとんどでしょう。
一般建設業許可と特定建設業許可との最大の違いは、元請けとして請けた工事のうち多額の工事を下請けに出せるかどうかです。
まず、一般建設業許可であっても、金額の条件なく工事を請けることは可能です。
また、下請けとして請けた工事を、再下請けに出す金額にも制限はありません。
ただし、次の場合には、特定建設業許可が必要です(建設業法3条1項2号、建設業法施行令2条)。
元請として請けた1件の工事について、合計税込4,500万円(建築一式工事の場合には7,000万円)以上の工事を下請けに出す場合
たとえば、X社が建築一式工事の元請けとして2億円の工事を請けた場合、次の場合には一般建設業許可で問題ありません。
- すべて自社で施行する場合
- 下請けに出すものの、下請けに出す金額の税込合計が7,000万円未満である場合
一方、次の場合には、特定建設業許可が必要です。
- 1億円の工事をA社に下請けに出す場合
- A社に5,000万円、B社に5,000万円の工事をそれぞれ下請けに出す場合
なお、この場合において、もともとX社がこの工事の元請ではなく下請けである場合には、いくらの工事を下請けに出しても一般建設業許可で問題ありません。
愛知県知事許可と大臣許可
建設業許可は、愛知県知事許可と大臣許可が存在します。
いずれの許可が必要であるのかは、建設業の営業所を1つの都道府県内にだけ出すのか、複数都道府県にまたいで出すのかによって異なります。
具体例は、次のとおりです。
- 愛知県半田市にのみ建設業の営業所がある:愛知県知事許可
- 愛知県一宮市と愛知県常滑市に建設業の営業所がある:愛知県知事許可
- 愛知県東海市と三重県津市に建設業の営業所がある:大臣許可
- 登記簿上の本店所在地は三重県津市だが、建設業の営業所は愛知県半田市にのみある:愛知県知事許可
- 個人事業者の住所が三重県桑名市だが、建設業の営業所は愛知県知多市にのみある:愛知県知事許可
なお、あくまでも営業所の所在地による分類であり、工事の施行地域が制限されているわけではありません。
たとえば、愛知県知事許可を持っている建設業者様が、三重県の工事や東京都の工事などを請けても問題ないということです(ただし、あまり遠方の工事を同時に複数請けた場合には、技術者の配置という現実的な問題は残ります)。
29業種それぞれの許可
建設業許可は、「建設業許可」という1つの許可さえ取ればすべての工事が施行できるようにんなるわけではありません。
建設業法では建設工事が29業種に分類されており、上で解説した「軽微な工事」を請けるためには、それぞれの工事業種について許可を取得する必要があります。
建設工事の29業種は、次のとおりです。
- 土木一式工事
- 建築一式工事
- 大工工事
- 左官工事
- とび・土工・コンクリート工事
- 石工事
- 屋根工事
- 電気工事
- 管工事
- タイル・れんが・ブロック工事
- 鋼構造物工事業
- 鉄筋工事
- 舗装工事
- しゅんせつ工事
- 板金工事
- ガラス工事
- 塗装工事
- 防水工事
- 内装仕上工事
- 機械器具設置工事
- 熱絶縁工事
- 電気通信工事
- 造園工事
- さく井工事
- 建具工事
- 水道施設工事
- 消防施設工事
- 清掃施設工事
- 解体工事
これらの工事を施工するためには、それぞれ許可を取得する必要があります。
たとえば「塗装工事」の建設業許可を取得した場合には、塗装工事については金額の制限なく工事を請けることが可能となります。
一方、他の業種の許可を持っていないのであれば、「大工工事」は軽微な工事に該当する500万円未満の工事しか請けることができません。
塗装工事も大工工事も、いずれも500万円以上の工事を請けたいのであれば、塗装工事と大工工事それぞれについて許可を取得する必要があるということです。
それぞれの工事の概要や分類の考え方については下記のコラムで紹介していますので、こちらも合わせてご参照ください。
建設業許可を取るまでの流れ
建設業許可を新たに取得したい場合、どのような流れを踏めばよいのでしょうか。
自分で建設業許可申請をすることを前提とした大まかな流れは、次のとおりです。
取得する許可の種類を検討する
はじめに、取得する建設業許可の種類を検討します。
検討すべき内容は、次のとおりです。
- 29業種のうちどの許可が必要か
- 一般建設業許可か、特定建設業許可か
- 知事許可か、大臣許可か
それぞれの概要は上で解説していますので、そちらを参考のうえ検討しましょう。
許可要件を満たしているかどうかを確認する
次に、取得したい許可について、上で解説した許可要件を満たしているかどうかを確認します。いくら「この種類の許可が取得したい」と思っていても、許可要件を満たしていなければ申請の段階で受け付けがされなかったり、受け付けがされても不許可になったりするのみであるためです。
許可要件を満たしているかどうかを確認する際には、満たしていることを証明する書類が提示できるかどうかも、あわせて検討しておきましょう。
必要書類を集める
許可要件を満たしていることが確認できたら、必要書類の作成と収集を行います。
なお、建設業許可申請にはさまざまな書類が必要となるうえ、提出すべき書類もケースごとに異なるため、簡単なリストで一覧提示できるようなものではありません。
必要書類や作成すべき書類については、愛知県のホームページをご参照ください。
建設事務所へ事前相談に出向く
自分で建設業許可を申請する場合、はじめからすべての書類を問題なくそろえることは、非常に困難でしょう。そのため、書類をある程度集めたら、申請先の建設事務所などへ事前相談に出向くことをおすすめします。
自分で申請する場合、書類の作成や収集が得意な方でも最低2~3回程度、通常は3~4回程度建設事務所へ出向く必要が生じるものと思われます。
申請する
書類が揃ったら、管轄の建設事務所へ申請します。
申請をする際には、手数料の納付が必要です。
許可申請に係る手数料は、知事許可の一般建設業の申請をする場合、90,000円です。
なお、複数業種をまとめて申請しても、手数料の変動はありません。
許可が下りる
申請した内容に問題がなければ、後日建設業許可がおります。
愛知県における建設業許可の標準処理期間(申請受理から許可不許可が決まるまでの期間)は、県の休日を除く23日です。そのため。どれだけスムーズにいっても、許可申請の受理から実際に許可が下りるまでには、40日程度を要することとなります。
当然ながら、申請が受理されても許可が下りるまでの間は、建設業許可が必要な工事の契約などをすることはできません。
受理がされたらすぐに許可が下りるわけではありませんので、期間に余裕をもって申請手続きを進めましょう。
建設業許可を行政書士に依頼するメリット
建設業許可を自分で申請することは、容易ではありません。そこで、多くの事業者様が行政書士を活用しています。
建設業許可の申請手続きを行政書士へ依頼する主なメリットは、次のとおりです。
自分で書類を作ったり調べたりする手間が省ける
建設業許可を自分で申請しようとすれば、まずは許可要件を満たすかどうかを検討し、膨大な書類の作成や収集を行い、何度も建設事務所へ相談へ出向き・・と、非常に手間と時間がかかります。
忙しい建設業者様が本業の合間を縫ってこれらの作業を行うことは、容易ではないでしょう。
行政書士へ建設業許可の申請手続きを依頼した場合には、これらの手間の多くは行政書士が担います。
そのため、建設業者様は本業に集中しやすくなるでしょう。
平日の日中に建設事務所へ行かなくて済む
建設業許可の申請先である建設事務所などは、平日の日中しか開庁していません。そのため、書類を確認してもらったり申請に出向いたりするためには、何度も平日の日中に時間をとる必要が生じます。
また、自分で書類を作成しようとすれば適宜建設事務所へ相談したいことも出てくるかと思いますが、電話で相談しようにも回線が込み合っていることが多く、特に名古屋市内の知事許可を担当する都市総務課では、何度電話をかけてもつながらないことがめずらしくないほどです。
行政書士へ手続きを依頼した場合には、自分で建設事務所へ出向く必要はありません。
許可申請までの期間が短縮しやすい
忙しい合間を縫って建設業者様が自ら許可申請をしようとすれば、申請までに2か月や3か月といった長期間を有する可能性が高いでしょう。慣れていない方が自分で建設業許可申請を行うには、1つずつ調べたり何度か建設事務所へ相談に行ったりしながら手続きを進めていかざるを得ないためです。
場合によっては、申請までに半年以上もの期間を要したり、自分でやろうとしたものの断念して途中からご依頼頂いたりするケースもあるほどです。
一方、建設業許可申請に慣れている行政書士へ手続きを依頼した場合には、自分で行うよりも早く申請まで進める可能性が高いでしょう。
許可取得後の変更届や事業年度終了届も依頼できる
建設業許可は、取得したらそこで終わりという性質のものではありません。
許可期限は5年であり、5年ごとに更新手続きが必要です。また、毎年決算期を迎えるごとに事業年度終了届を提出する必要があるほか、変更が生じた際には変更届も提出しなければなりません。
これらの手続きを自分で管理し、行っていくことは容易ではないでしょう。
行政書士へ建設業許可申請を依頼した場合には、これらの手続きについて案内が受けられ依頼することができるほか、期限の管理も行ってくれることが一般的です。
建設業許可を取得するための費用
建設業許可を取得するためには、どの程度の費用が掛かるのでしょうか。
主にかかる費用と金額の概要は、次のとおりです。
行政書士報酬
建設業許可申請を行政書士へ依頼した場合には、行政書士の報酬がかかります。行政書士報酬は自由化されているため、報酬額や報酬の計算方法は事務所によって異なります。
弊所へご依頼頂いた場合の報酬は、料金表のページをご参照ください。
建設事務所へ支払う許可申請手数料
建設業許可を新規で申請するには、申請先である県などに対して次の手数料の支払いが必要となります。こちらは、法令で決められているものです。
申請する許可の種類 | 知事許可 | 大臣許可 |
---|---|---|
一般建設業許可を新規で申請する場合 | 9万円 | 15万円 |
特定建設業許可を新規で申請する場合 | 9万円 | 15万円 |
一般建設業許可と特定建設業許可を同時に新規で申請する場合 | 18万円 | 30万円 |
なお、県などに支払う手数料は、法人か個人かで違いはありません。
また、同時に同じ種類の許可を複数業種で申請する場合であっても、加算はされれないこととなっています。具体的には次のとおりです。
- 大工工事のみを愛知県知事許可(一般)で申請する場合:9万円
- 大工工事と内装仕上工事を愛知県知事許可(一般)で同時に申請する場合:9万円
- 大工工事を愛知県知事許可(一般)で申請して、内装仕上工事を愛知県知事許可(特定)で申請する場合:18万円
ただし、すでに許可を持っている建設業者様が、あとから許可業種を追加する際には、下記の手数料がかかります。たとえば、すでに愛知県知事許可で大工工事の許可を持っている建設業者様が、新たに内装仕上工事の許可を申請する場合などです。
申請する許可の種類 | 知事許可 | 大臣許可 |
---|---|---|
業種追加のみ | 5万円 | 5万円 |
許可更新のタイミングで業種追加をする場合(更新手数料との合計) | 10万円 | 10万円 |
建設業許可に必要な添付資料の取得費用
建設業許可を申請するためにはさまざまな添付書類が必要となり、この書類を取得するための費用がかかります。
書類取得に要する費用は、個人事業での申請の場合にはおおむね1,000円から2,000円程度です。
法人の場合であっても、2,000円から3,000円程度で収まることが多いでしょう。
ただし、役員の数が多い場合には、役員ごとに取得すべき書類があるため、もう少しかかる可能性があります。
なお、これはあくまでも一般的なケースで要する費用であり、確定申告書の控えを取り寄せる必要がある場合や卒業証明書などを取り寄せる必要があるケースなどでは、別途費用が掛かる可能性があります。
建設業許可に関するよくある誤解
建設業許可に関しては、誤解も少なくありません。
建設業許可に関するよくある誤解は、次のとおりです。
資格がないと絶対に許可が取れない
何らかの資格がなければ建設業許可を取得できないと誤解をしている場合もあります。
しかし、資格はあくまでも「専任技術者の要件を満たすための1つの方法」でしかなく、資格がないからといって必ずしも許可が取れないわけではありません。
ただし、電気工事業など一部の業種では資格がなければ自社で工事を施工することができないため、現実的には資格が必要となる場合はあります。
「一式工事」を取ればどんな工事でも請け負える
「建築一式工事」や「土木一式工事」を取得すれば、他のすべての工事が施行できるとの誤解も少なくありません。
しかし、これら一式工事はあくまでも「総合的な企画、指導、調整」をする工事業種であり、「これさえ持っていれば何でもできる」というわけではない点に注意が必要です。
たとえば、建築一式工事の許可を持っていれば、家1軒のプロデュースをすることができます。そのうえで、各工事については下請けに出すなどして、施工していきます。
一方、建築一式工事の許可のみを持っている場合、500万円を超える屋根の修理工事や、500万円を超える大工工事のみの打診を受けたとしても、これを請けることはできません。これらを請けるためには、それぞれ「屋根工事」と「大工工事」の許可が必要となります。
この点については誤解が多いところですので、特に注意しておきましょう。
まとめ
建設業許可を取るためには、まず「どの許可を取るべきか」を検討するところからスタートします。そのうえで、要件の確認や書類の作成、収集などを進めましょう。
しかし、建設業許可の要件は複雑であり、パッと見ても理解が難しいかもしれません。また、許可申請には大量の書類が必要であり、これを多忙な建設業者様が自社で行うことは容易ではないでしょう。
そのため、建設業許可の申請をご検討の際には、行政書士への依頼がおすすめです。
なごみ行政書士事務所では、知多半島や名古屋市、周辺地域の建設業許可申請を代行・サポートしています。ご依頼をご検討頂いている方は、下記「対応エリアと料金体系」をご覧いただき、コンタクトフォームまたはお電話にて、お気軽にお問合せくださいませ。
対応エリアと料金体系
対応エリアや料金体系などの詳細は、下記のページをご参照くださいませ。
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