建設業者が知っておくべき「建設業法」とは

建設業の基本

建設業を営むうえで、ぜひ知っておいていただきたい法律が「建設業法」です。

この記事では、建設業法のうち建設業者様が特に知っておきたいルールについて、ピックアップして解説します。

建設業法とは

建設業法とは、発注者の保護と建設業の健全な発達と促進などを目的とした法律です。

1条では、この法律の目的が次のように定められています。

この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによつて、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もつて公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。

建設業法1条

建設業に関する基本的なルールがこの「建設業法」で定められており、より細かいことは「建設業法施行令」や「建設業法施行規則」などで定められています。

建設業法の主な体系

建設業法は、全部で11章(1章から8章と「3章の2」「4章の2」「4章の3」)で構成されています。

このうち、特に建設業者さまが知っておきたいことが書いてある箇所は、次のとおりです。

第一章:総則

総則には、建設業法の目的と用語の定義が書かれています。

特に、用語の定義をおさえないと以後の法律を読み間違えてしまうおそれがありますので、ここは確認しておくとよいでしょう。

この法律において「建設工事」とは、土木建築に関する工事で別表第一の上欄に掲げるものをいう。
2 この法律において「建設業」とは、元請、下請その他いかなる名義をもつてするかを問わず、建設工事の完成を請け負う営業をいう。
3 この法律において「建設業者」とは、第三条第一項の許可を受けて建設業を営む者をいう。
4 この法律において「下請契約」とは、建設工事を他の者から請け負つた建設業を営む者と他の建設業を営む者との間で当該建設工事の全部又は一部について締結される請負契約をいう。
5 この法律において「発注者」とは、建設工事(他の者から請け負つたものを除く。)の注文者をいい、「元請負人」とは、下請契約における注文者で建設業者であるものをいい、「下請負人」とは、下請契約における請負人をいう。

建設業法第2条

3項で、建設業者とは建設業許可を持って建設業を営む者をいうと定義されています。

建設業は、軽微な工事(500万円未満の工事など)のみを請け負う場合には許可なく営むことが可能ですが、建設業法においては許可なく建設業を営む者は「建設業者」ではないということです。

そのため、建設業法の規定を読むときには、建設業を営む者全般を指しているのか、(許可を持った)「建設業者」だけを指しているのかに注意をして読むとよいでしょう。

第二章:建設業の許可

第2章では、建設業者許可について定められています。

建設業許可が必要となる場合や建設業許可の種類、建設業許可の要件については、ここに書かれています。

許可について知りたい場合には、この章を参照しましょう。

第三章:建設工事の請負契約

第3章は、建設工事の請負契約のルールについて定めた章です。

工事契約の締結には所定の事項が書かれた契約書を取り交わす義務がありますが、このことはこの章に明記されています。

また、不当に低い請負代金の禁止や一括下請負の禁止など、工事契約に関するルールが記載されていますので、元請けの立場となる場合も下請けの立場となる場合も、しっかりと読んで理解しておくべきでしょう。

ここを理解しておかなければ、ふだん何気なくおこなっていることが、建設業法に違反してしまうリスクがあるためです。

第四章:施工技術の確保

第4章は、施行技術の確保について定めています。

たとえば、建設業者が工事を施工するときは、現場に主任技術者を配置しなければならないとされています。また、主任技術者は、営業所の専任技術者と同じ要件を満たす人でなければなりません。

この章にはこのような現場運用上のルールが書かれていますので、ぜひ一読されることをおすすめします。

第四章の二:建設業者の経営に関する事項の審査等

4章の2では、経営に関する事項の審査などについて定められています。一般的に、「経審(ケイシン)」と呼ばれる制度です。

経審とは、公共工事を請ける際にその前段階としておこなう、経営事項に関する審査のことです。

公共工事を元請けとして受注したい場合には、ぜひこの章についても熟読しておきましょう。

第五章:監督

第5章では、建設業者に対する営業停止処分や許可取り消し処分などについて定められています。

このような不利益な処分は、法令に根拠がなければおこなうことができません。そのため、下される可能性がある処分を知りたい場合には、この章を確認しておきましょう。

第八章:罰則

第8条では、建設業者に対する罰則が定められています。

第5章の許可取り消しなどと同様に、罰則を適用する場合にも法令の根拠が必須です。

そのため、適用されうる罰則が知りたい場合には、この章の規定を確認しておきましょう。

建設業者が特に知っておくべき建設業法のルールとは

建設業法をすべて読み込むことは、多忙な建設業者様にとって容易ではありません。

ここでは、特に建設業者様が知っておくべき規定を、いくつかピックアップして解説します。

建設業許可制度

建設業法では、建設業許可制度について定められています。

建設業許可とは、「軽微な工事」以外の工事を請けるために必要となる許可です。

次の工事は「軽微な工事」に該当するため、これらの工事のみを請ける場合には建設業許可は必要ありません。

  • 建築一式工事:請負代金1,500万円未満の工事と延べ面積150㎡未満の木造住宅建設工事
  • その他の工事:請負代金500万円未満の工事

ただし、軽微な工事のみを請ける場合であっても、元請けさんからの要請などで許可を取るべき場合もあります。

建設業許可には、「一般建設業」と「特定建設業」の区分が存在するほか、「知事許可」と「大臣許可」、さらに29の工事業種それぞれの許可が存在します。

許可の分類の詳細については、こちらの記事をご参照ください。

請負契約のルール

建設業法では、請負契約についてのルールが定められています。

たとえば、請負契約書についてだけでも、次のような決まりがあります。

建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従つて、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない
一 工事内容
二 請負代金の額
三 工事着手の時期及び工事完成の時期
四 工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときは、その内容
五 請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法
六 当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があつた場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め
七 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め
八 価格等(物価統制令(昭和二十一年勅令第百十八号)第二条に規定する価格等をいう。)の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更
九 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め
十 注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め
十一 注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期
十二 工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
十三 工事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容
十四 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
十五 契約に関する紛争の解決方法
十六 その他国土交通省令で定める事項
2 請負契約の当事者は、請負契約の内容で前項に掲げる事項に該当するものを変更するときは、その変更の内容を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。

建設業法19条

工事契約書の書面での締結は、単に「そうした方が望ましいよね」という次元の話ではなく、建設業法に明記されているルールなのです。

また、次のような規定も存在します。

不当に低い請負代金の禁止
第十九条の三 注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない。
不当な使用資材等の購入強制の禁止
第十九条の四 注文者は、請負契約の締結後、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事に使用する資材若しくは機械器具又はこれらの購入先を指定し、これらを請負人に購入させて、その利益を害してはならない。
著しく短い工期の禁止
第十九条の五 注文者は、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間を工期とする請負契約を締結してはならない。

建設業法

これらも、単なる努力目標ではなく、法律上の義務(禁止事項)です。そのため、建設業法を知っておくことで、建設業者様が自らの身を守ることにつながるでしょう。

さらに、次のような決まりもあります。

建設工事の見積り等
第二十条 建設業者は、建設工事の請負契約を締結するに際して、工事内容に応じ、工事の種別ごとの材料費、労務費その他の経費の内訳並びに工事の工程ごとの作業及びその準備に必要な日数を明らかにして、建設工事の見積りを行うよう努めなければならない。
2 建設業者は、建設工事の注文者から請求があつたときは、請負契約が成立するまでの間に、建設工事の見積書を交付しなければならない。

建設業法

一括下請負の禁止
第二十二条 建設業者は、その請け負つた建設工事を、いかなる方法をもつてするかを問わず、一括して他人に請け負わせてはならない
2 建設業を営む者は、建設業者から当該建設業者の請け負つた建設工事を一括して請け負つてはならない
3 前二項の建設工事が多数の者が利用する施設又は工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるもの以外の建設工事である場合において、当該建設工事の元請負人があらかじめ発注者の書面による承諾を得たときは、これらの規定は、適用しない。

建設業法

「一括下請けはダメ」と聞いたことがあるかもしれませんが、これもしっかり法律の根拠が存在します。

このようなルールを知らなければ知らず知らずのうちに法律違反を犯してしまう可能性がありますので、注意しましょう。

施行技術の確保

施行技術の確保についても、建設業者様にとって重要となる規定です。

特に、このあたりの規定は押さえておくべきでしょう。

(施工技術の確保に関する建設業者等の責務)
第二十五条の二十七 建設業者は、建設工事の担い手の育成及び確保その他の施工技術の確保に努めなければならない。
2 建設工事に従事する者は、建設工事を適正に実施するために必要な知識及び技術又は技能の向上に努めなければならない。
3 国土交通大臣は、前二項の施工技術の確保並びに知識及び技術又は技能の向上に資するため、必要に応じ、講習及び調査の実施、資料の提供その他の措置を講ずるものとする。
(主任技術者及び監理技術者の設置等)
第二十六条 建設業者は、その請け負つた建設工事を施工するときは、当該建設工事に関し第七条第二号イ、ロ又はハに該当する者で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「主任技術者」という。)を置かなければならない
2 発注者から直接建設工事を請け負つた特定建設業者は、当該建設工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の額(当該下請契約が二以上あるときは、それらの請負代金の額の総額)が第三条第一項第二号の政令で定める金額以上になる場合においては、前項の規定にかかわらず、当該建設工事に関し第十五条第二号イ、ロ又はハに該当する者(当該建設工事に係る建設業が指定建設業である場合にあつては、同号イに該当する者又は同号ハの規定により国土交通大臣が同号イに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者)で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「監理技術者」という。)を置かなければならない。
3 公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるものについては、前二項の規定により置かなければならない主任技術者又は監理技術者は、工事現場ごとに、専任の者でなければならない。ただし、監理技術者にあつては、発注者から直接当該建設工事を請け負つた特定建設業者が、当該監理技術者の行うべき第二十六条の四第一項に規定する職務を補佐する者として、当該建設工事に関し第十五条第二号イ、ロ又はハに該当する者に準ずる者として政令で定める者を当該工事現場に専任で置くときは、この限りでない。
4 前項ただし書の規定は、同項ただし書の工事現場の数が、同一の特例監理技術者(同項ただし書の規定の適用を受ける監理技術者をいう。次項において同じ。)がその行うべき各工事現場に係る第二十六条の四第一項に規定する職務を行つたとしてもその適切な実施に支障を生ずるおそれがないものとして政令で定める数を超えるときは、適用しない。
5 第三項の規定により専任の者でなければならない監理技術者(特例監理技術者を含む。)は、第二十七条の十八第一項の規定による監理技術者資格者証の交付を受けている者であつて、第二十六条の五から第二十六条の七までの規定により国土交通大臣の登録を受けた講習を受講したもののうちから、これを選任しなければならない。
6 前項の規定により選任された監理技術者は、発注者から請求があつたときは、監理技術者資格者証を提示しなければならない。

建設業法

営業所への専任技術者の配置は許可要件となるため、建設業許可を持った建設業者様であれば、通常知っている事項です。

一方、工事の現場に営業所の専任技術者と同様の資格や実務経験を持った者を配置すべきとしている建設業法26条は、見落としてしまっていることが少なくありません。

現場への配置技術者は営業所の配置技術者と兼任も可能で、他の現場との兼任も可能ですが、「公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設」の工事では専任であることが必要です。

そして、「公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設」には、原則として工事1件の請負金額が3,500万円(建築一式は7,000万円)以上の工事であれば該当します。

つまり、請負金額が3,500万円(建築一式は7,000万円)以上の工事では、原則として他の現場の配置技術者や営業所の専任技術者との兼任が認められないということです。

こちらも、うっかり違反してしまうリスクがありますので、よく注意しておきましょう。

罰則

建設業法では、罰則が定められています。主な罰則は、次のとおりです。

  • 無許可営業:3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金またはその併科(法人は1億円以下の罰金刑の両罰規定あり)
  • 特定建設業許可を持たずに、元請けとして工事を請け、かつ計4,000万円(建築一式工事では6,000万円)以上の工事を下請けに出した:3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金またはその併科(法人は1億円以下の罰金刑の両罰規定あり)
  • 営業停止処分や営業禁止処分に違反して建設業を営んだ:3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金またはその併科(法人は1億円以下の罰金刑の両罰規定あり)
  • 虚偽や不正での許可申請:3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金またはその併科(法人は1億円以下の罰金刑の両罰規定あり)
  • 許可申請書への虚偽記載:6月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはその併科
  • 変更届や事業年度終了届の未提出・虚偽記載:6月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはその併科
  • 経審への虚偽記載:6月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはその併科
  • 現場への配置技術者の配置義務違反:100万円以下の罰金

懲役の可能性がある罰則もあるほか、法人では1億円以下という非常に多額の罰金が課される可能性もありますので、注意しましょう。

まとめ

建設業法には、建設業者様が知っておくべきさまざまなルールが記載されています。

なかには重い罰則を伴う規定もありますので、建設業法をよく理解したうえで違反することのないよう注意しておきましょう。

なごみ行政書士事務所では、知多半島や名古屋市の建設業許可申請を代行・サポートしています。ご依頼をご検討頂いている方は、下記「対応エリアと料金体系」をご覧いただき、コンタクトフォームまたはお電話にて、お気軽にお問合せくださいませ。

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