建設業許可をガラス工事で取るための要件を詳しく解説

ガラス工事

建設業において、工事は29業種に分類されています。そして、建設業許可はこの工事業種ごとに取得しなければなりません。

では、建設業許可において、ガラス工事に分類されるのはどのような工事なのでしょうか。

この記事では、建設業許可を「ガラス工事」で取得するための要件や、ガラス工事に分類される工事について詳しく解説します。

建設業許可でのガラス工事とは

建設業許可を申請するにあたっては、自社が請け負っていきたい工事がどの工事業種に分類されるのか、正しく知っておかなければなりません。

誤った工事業種で許可を取ってしまえば、本来請けたい工事が請けられない可能性があるためです。

建設業のうち、ガラス工事には次の工事が該当します。これは、国土交通省のガイドラインによるものです。

工作物にガラスを加工して取付ける工事

ガラス工事に分類される工事の具体例

国土交通省によれば、ガラス工事に分類される具体的な工事は、次のとおりです。

  • ガラス加工取付け工事
  • ガラスフィルム工事

工事業種の分類に迷う場合には独自に判断してしまうのではなく、管轄の建設事務所か、建設業許可申請を依頼する予定の行政書士へ相談するとよいでしょう。

ガラス工事で建設業許可を取得すべき場面

ガラス工事を請け負うからといって、どのような場合であっても建設業許可が必要となるわけではありません。

建設業許可をガラス工事で取得すべき主な場面は、次のとおりです。

税込500万円以上のガラス工事を請けたい場合

1件の請負金額が税込500万円以上となるガラス工事を請ける場合には、ガラス工事の建設業許可が必要です。

なお、この「税込500万円以上」とは、材料費などが別建てで記載してあったとしても、材料費などを含んだ金額で判断します。また、仮に元請さんや注文者さんが材料を提供する場合には、材料の市場価格や運送費を加算した金額で判定することとなっていますので、注意しましょう。

また、500万円未満に見せかけるために請求書などだけ2枚に分けることなどは、言語道断です。

仮に、建設業許可を取ることなく税込500万円以上のガラス工事を請けてしまえば、建設業法における無許可営業として罰則の対象となりますので、注意しましょう。

元請から建設業許可の取得を要請された場合

たとえ500万円未満のガラス工事のみを請ける場合であったとしても、元請けさんから建設業許可を取得するよう要請される場合があります。

法令上は許可は不要であるとはいえ、この場合には、現実的に建設業許可の取得へと動かざるを得ないでしょう。

実際に、この理由で許可を取りたいというお問い合わせは少なくありません。

自社の営業力を強化したい場合

建設業許可を取得することで、自社の営業力強化につながる可能性があります。

なぜなら、ガラス工事の建設業許可を取得すれば、ガラス工事については金額の上限を気にすることなく工事を請けることが可能となるためです。

また、建設業許可を持っているということは建設業許可を取得するための要件を満たしているということでもあるため、この点をアピールすることもできるでしょう。

ガラス工事で建設業許可を取るための要件


建設業許可を取るためには、いくつかの要件を満たさなければなりません。ガラス工事で建設業許可を取得するための要件は、次のとおりです。

なお、ここでは、「一般建設業許可」を前提として解説します。元請けとして請けた工事のうち4,000万円以上を下請けに出す場合に必要となる「特定建設業許可」では、これよりさらに厳しい要件を満たすことが必要です。

経営管理責任者がいること

建設業許可を取るためには、経営管理責任者の存在が必要です。

経営管理責任者になることができるのは、原則として経営陣(法人の場合:監査役等以外の常勤役員、個人事業の場合:個人事業主)のみです。このなかに、過去5年以上にわたる建設業の経営経験のある人がいなければなりません。

経営経験とは、建設業を営む個人事業主としての経験や、建設業を営む法人での役員経験などです。

営業所ごとに専任技術者を配置すること

建設業許可を取るためには、営業所ごとに専任技術者を配置しなければなりません。

ガラス工事において専任技術者となることができるのは、次のいずれかに該当する人です。

なお、専任技術者は営業所に専任である必要がありますので、他社との兼任などは認められません。一方、経営管理責任者とは同一人物であってもOKです。

ガラス工事の現場経験が10年以上ある人

ガラス工事について現場経験が10年以上ある人は、ガラス工事の専任技術者となることができます。

この現場経験はガラス工事での経験でなければならず、原則として他の工事業種で経験を積んだ期間はカウントすることができません。

ただし、建築工事業について12年以上の現場経験があり、かつガラス工事について8年超の現場経験があるのであれば、例外的にガラス工事の専任技術者となることができます。

一定の資格を持っている人

次の資格を持っている人は、ガラス工事の専任技術者となることができます。

  • 1級建築施工管理技士
  • 2級建築施工管理技士(仕上げ)
  • 職業能力開発促進法の「ガラス施工」※2級は合格後一定の実務経験が必要
  • 基幹技能者(登録硝子工事基幹技能者)※10年以上の実務経験を有することが受講資格の一つであり、この受講資格を満たした状態で受講された人が対象

一定の学歴と3年ないしは5年以上のガラス工事の現場経験がある人

次に関連する学科を卒業(修了)した人は、3年もしくは5年の実務経験を積むことで、ガラス工事の専任技術者となることができます。

  • 建築学
  • 都市工学

なお、実務経験年数が3年なのか5年なのか5年なのかは、次によって異なります。

  • 学校教育法による高等学校もしくは中等教育学校の所定学科を卒業した場合:5年
  • 学校教育法による大学(短期大学を含む)もしくは高等専門学校の所定学科を卒業した場合:3年
  • 学校教育法による専門職大学の前期課程の所定学科を修了した場合:3年

欠格要件に該当しないこと

建設業許可には「欠格要件」が定められており、個人事業主本人や法人本体、法人の役員さん(監査役等以外)がこれに1つでも該当してしまうと、許可を取ることができません。

主な欠格要件は、次のとおりです。

  • 破産して復権を得ていない
  • 過去5年以内に建設業許可を取り消されたことなどがある
  • 心身の故障により建設業を適正に営むことができない
  • 過去5年以内に一定の前科(原則:禁錮以上、一部の罪:罰金以上)がある
  • 暴力団関係者である

1つでも気になる欠格要件がある場合には、さらに詳細な内容を確認しておきましょう。

一定の財産的基礎があること

ガラス工事で一般建設業許可を取るためには、一定の財産的基礎があることが必要です。

具体的には、次のいずれかを満たしていなければなりません。

  • 申請日の直前の決算において、自己資本が500万円以上であること
  • 500万円以上預金があること(金融機関の残高証明書で確認)
  • 500万円以上の資金調達能力を有すること(金融機関の融資証明書で確認)

なお、残高証明書や融資証明書は、取得から申請までに期限(愛知県の場合:4週間以内)がありますので、注意しましょう。

必要な社会保険に加入していること

適切な社会保険への加入は、従来は許可要件とまではされておらず、加入していなくてもせいぜい「加入手続きをします」などといった念書の差し入れを求められる程度でした。

そのため、先輩事業者(?)さんから、「うちは社会保険には入っていないけど、許可が取れたよ」などという話を聞くことがあるかもしれません。

しかし、改正により、適切な社会保険への加入は令和2年10月1日以降許可要件の1つとされています。

そのため、現在は必要な社会保険に加入していないままでは建設業許可を取ることはできません。

建設業許可を取りたい場合には、あらかじめ適切な社会保険への加入手続きを済ませておきましょう。

まとめ

この記事では、建設業許可をガラス工事で取得するための要件について、詳しく解説してきました。しかし、建設業許可の要件は多く、ご自身や自社が要件に該当しているかどうか判断に迷う場合もあることでしょう。

また、申請書類を自社のみでそろえることも容易ではありません。

なごみ行政書士事務所では、知多半島や名古屋市、周辺地域の建設業許可申請を代行・サポートしています。ご依頼をご検討頂いている方は、下記「対応エリアと料金体系」をご覧いただき、コンタクトフォームまたはお電話にて、お気軽にお問合せくださいませ。

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