建設業を始めるのに資格は必要?

建設業の基本

建設業許可を取得するにあたって、何か資格は必要なのでしょうか。

この記事では、建設業許可と資格について詳しく解説します。

建設業は資格がなくても始められる

建設業許可を取得するのに、必ずしも何らかの資格が必要となるわけではありません

何ら資格を保有していなかったとしても、建設業許可を取得することが可能です。

建設業で例外的に資格が必要となる場合

建設業許可を取得しようとする場合、原則として資格は必要ありません。

しかし、次の場合には、例外的に資格が必要です。

一定の工事をおこなう場合

建設業許可は、500万円(建築一式工事では1,500万円)以上の工事をする場合などに必要となります。

一方、次の工事を行うためには、工事金額にかかわらず、資格が必要です。

電気工事を施工する場合

電気工事を自社で施工する場合には、その請負金額にかかわらず(建設業許可を取得するかどうかにかかわらず)、電気工事士などの資格が必要です。

また、電気工事の経験年数をもって専任技術者となるためには、電気工事士などの資格を持って工事に携わった期間しか経験期間としてカウントすることができません。

消防設備工事を施工する場合

一定の消防設備工事を施工する場合には、その請負金額にかかわらず(建設業許可を取得するかどうかにかかわらず)、消防設備士の資格が必要です。

また、消防施設工事の経験年数をもって専任技術者となるためには、消防設備士などの資格を持って工事に携わった期間しか経験期間としてカウントすることができません。

建設業許可の「専任技術者」要件を資格でクリアしたい場合

建設業許可を取得するためには、営業所ごとに「専任技術者」を配置しなければなりません。

専任技術者とは、工事技術上の責任者のことです。

この専任技術者となるためには、次のいずれかの要件を満たす必要があります。

  1. その工事業種ごとに定められた所定の資格を持っていること
  2. 所定の学科を卒業し、その工事業種に関する3年または5年の実務経験を有すること
  3. その工事業種に関する10年以上の実務経験を有すること

このうち、「1」で専任技術者の要件を満たすためには、所定の資格を持っていなければなりません。

どの資格が必要となるのかは、国土交通省が公表している国家資格一覧表でご確認ください。

建設業許可とは

建設業許可とは、そもそもどのようなときに必要になるものなのでしょうか。

また、建設業許可を取得するには、どのような要件が必要となるのでしょうか。

ここでは、建設業許可の基本について確認しておきましょう。

建設業許可が必要となる場合

建設業を営むからといって、必ずしも建設業許可が必要となるわけではありません。

建設業許可が必要となる主な場面は、次の2パターンです。

1:「軽微な工事」以外の工事を請けたい場合

一定の「軽微な工事」のみを請ける場合には、建設業許可は必要ありません。

許可不要で請けることのできる「軽微な工事」とは、次の工事です。

  • 原則:税込500万円未満の工事
  • 建築一式工事の場合:税込1,500万円未満の工事と、木造住宅で延べ面積が 150 ㎡未満の工事

裏返せば、これら以外の工事を請けたいのであれば、建設業許可が必要となります。

2:元請けから要請された場合

上で挙げた「軽微な工事」のみを請ける場合であっても、元請けさんから「工事を発注するために、建設業許可を取得してほしい」と要請される場合があります。

建設業許可を取得するためにはさまざまな要件がありますので、許可を持った事業者のみを現場に入れることで、コンプライアンスを徹底したいとの考えからでしょう。

この場合、引き続きその元請けさんから工事を請けたい場合には、建設業許可を取得することが必要です。

建設業許可の主な要件

建設業許可を取得するには、主に次の5つの要件を満たす必要があります。

それぞれの要件の概要は、次のとおりです。

要件1:経営管理責任者がいること

建設業許可を取得するには、許可を取得しようとする法人の役員(個人事業の場合には、原則として個人事業主本人)のなかに、経営管理責任者が存在しなければなりません。

経営管理責任者となることができるのは、原則として、建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験がある人です。

たとえば、次の人などがこれに該当します。

  • 個人事業主として5年以上の建設業経験がある人
  • 建設業を営む法人で5年以上役員(監査役など以外)を務めていた人
  • 個人事業主として2年建設業に携わり、法人成りして3年以上が経った人
  • 建設業を営む法人で3年役員(監査役など以外)を務め、その後個人事業として独立して2年以上が経った人

なお、これらの経験は過去の決算書など証拠書類で証明できなければなりません。

個人事業で建設業を営んでいたもののきちんと確定申告をしていなかった場合などにはこの点がハードルとなり、許可が取得できないリスクがあります。

要件2:専任技術者がいること

建設業許可を取得するには、建設業法上の営業所ごとに常勤の専任技術者を配置しなければなりません。

一般建設業の場合には、次のいずれかに該当する人が専任技術者としての要件を満たします。

  • 所定の資格を保有している人
  • 所定学科の高校または大学卒業後、5年または3年以上の実務経験のある人
  • 許可を取得しようとする業種について10年以上の実務経験のある人

専任技術者となることができる資格は、許可を取得しようとする業種によって異なります。

なお、専任技術者は経営管理責任者と同じ人であっても構いません。実際、個人事業で建設業許可を取得する場合には、経営管理責任者と専任技術者が同一人物であるケースが大半です。

また、専任技術者は必ずしも役員などから選任しなければならないわけではなく、役職のない従業員でも構いません。ただし、専任技術者が欠けた場合、すぐに代わりの人が選任できなければ建設業許可を失うことになりかねませんので、できるだけ辞めにくい人とされることをおすすめします。

要件3:財産的基礎が十分であること

建設業許可を取得するには、財産的基礎が十分であることが必要です。具体的には、愛知県の場合、次のいずれかを満たすことでこの要件をクリアできます。

  1. 申請直前の決算において、自己資本が 500万円以上であること
  2. 500万円以上が預金された残高証明書を提出できること
  3. 500万円以上の融資証明書を提出できること

原則として「1」で要件を満たすかどうかを確認し、これで満たせなければ「2」を検討することとなります。

要件4:欠格要件に該当しないこと

建設業許可には、欠格要件が定められています。欠格要件とは、「個人事業主本人や法人自身、法人の役員などがこれに1つでも該当してしまうと許可ができません」という要件のことです。

建設業許可における主な欠格要件は、次のとおりです。

  • 破産して復権を得ていない
  • 過去5年以内に建設業許可を取り消されたことなどがある
  • 過去5年以内に一定の前科がある
  • 暴力団関係者である

このなかで、特に注意すべきは「一定の前科」です。

具体的には、過去5年以内に次の前科がある場合には欠格要件に該当します。

  1. 禁錮以上の刑に処された
  2. 次の規定に違反して罰金刑に処された
    • 建設業法
    • 建築基準法、宅地造成等規制法、都市計画法など建設工事に関する法規
    • 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定
    • 刑法204条(傷害)、第206条(現場助勢)、第208条(暴行)、第208条の3(凶器準備集合及び結集)、第222条(脅迫)、第247条(背任)の罪
    • 暴力行為等処罰に関する法律

※執行猶予が付いた場合には、執行猶予期間さえ無事に満了すれば、5年を待たずに許可申請をすることができます。執行猶予期間が満了した時点で、刑の言い渡し自体がなかったことになるためです。

なお、欠格要件に該当しているにもかかわらず該当していないと嘘をついて申請をしても、バレる可能性が非常に高いです。その場合には虚偽申請として罰則の対象となるほか、場合によってはそこからさらに5年間許可が請けられなくなりますので、虚偽申請は絶対にしないでください

要件5:適切な社会保険に加入していること

社会保険への加入は、以前は許可要件とされていませんでした。

しかし、2020年10月1日から施行された改正により、現在は許可要件の1つとされています。

加入すべき社会保険は、それぞれ次のとおりです。

  • 法人:健康保険、厚生年金、雇用保険
  • 常時使用する従業員が5人以上の個人事業主:健康保険、厚生年金、雇用保険
  • 常時使用する従業員が5人未満の個人事業主:国民健康保険、国民年金、雇用保険
  • 1人親方:国民健康保険と国民年金

必要な保険を確認し、建設業許可申請の前に加入しておきましょう。

なお、行政書士事務所である弊所では、社会保険の手続きを代行することはできません。社会保険の加入については年金事務所などで直接手続きをおこなうか、社会保険労務士に代行してもらってください。

建設業の専任技術者になれる資格とは

建設業の専任技術者となるための要件の1つに、上で解説をしたとおり、一定の資格を持っていることが挙げられます。

その資格は、国土交通省が出しているこちらの表で調べることが可能です。

一般建設業許可の場合、表中に「〇」か「◎」が付いていれば専任技術者としての要件を満たします。

たとえば、「1級建築士」の資格を持っていれば、次の業種の専任技術者になれるということです。

  • 建築一式工事
  • 大工工事
  • 屋根工事
  • タイル・レンガ・ブロック工事
  • 鋼構造物工事
  • 内装工事

こちらの表を参照しながら、取得したい許可に必要な資格の取得を目指したり、取得したい許可に必要な資格を持っている人を採用したりするとよいでしょう。

まとめ

建設業許可を取得するために、必ずしも資格が必要なわけではありません。

しかし、電気工事など一定の工事を自社で施工する場合や、建設業許可の専任技術者要件を資格で満たしたい場合などには、例外的に資格が必要となります。

資格は一朝一夕で取れるものではありませんので、計画的に取得や資格者の採用を進めていくとよいでしょう。

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