建設業許可を防水工事で取るための要件を詳しく解説

建設業許可の取り方

建設工事は29業種に分類されており、建設業許可は必要な業種について取得する必要があります。

では、建設業許可を防水工事で取りたい場合、どのような要件を満たせばよいのでしょうか。

この記事では、防水工事で建設業許可を取得する場合の要件や防水工事に分類される工事などについて、詳しく解説します。

建設業許可での防水工事とは

建設業許可を申請する際には、まず自社が今後行おうとしている工事がどの工事業種に該当するのかを確認する必要があります。

国土交通省が公表している「業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方(H29.11.10改正)」によれば、防水工事は、次の工事です。

アスファルト、モルタル、シーリング材等によつて防水を行う工事

防水工事の具体例

防水工事に分類される工事の具体例は、次のとおりです。

  • アスファルト防水工事
  • モルタル防水工事
  • シーリング工事
  • 塗膜防水工事
  • シート防水工事
  • 注入防水工事

まずは、こちらを参考に、自社が請けていきたい工事が防水工事に該当するかどうか確認するとよいでしょう。

防水工事かどうか判断に迷うケース

国土交通省のガイドラインで、迷いがちな工事について分類の考え方が記載されています。

防水工事についての分類の考え方は、次のとおりです。

  • 『防水工事』に含まれるものはいわゆる建築系の防水工事のみであり、トンネル防水工事等の土木系の防水工事は『防水工事』ではなく『とび・土工・コンクリート工事』に該当する
  • 防水モルタルを用いた防水工事は左官工事業と防水工事業どちらの業種の許可でも施工可能である

実際には、ガイドラインを参照しても、防水工事に分類してよいのか迷う工事もあることでしょう。

その場合には、管轄の建設事務所か建設業許可申請を依頼している行政書士へ相談してください。

なお、都道府県によって取り扱いが異なる場合がありますので、他の管轄での事例を鵜呑みにすることはおすすめできません。

防水工事で建設業許可を取得すべき場面

防水工事を請け負うからといって、実は必ずしも建設業許可を取らなければならないわけではありません。

建設業許可と取るべき場面は、主に次のとおりです。

税込500万円以上の防水工事を請けたい場合

1件あたりの請負金額が税込500万円以上となる防水工事を請けたい場合には、防水工事の建設業許可を取得しなければなりません。

建設業許可は一定の「軽微な工事」のみを請け負う場合は不要とされており、防水工事においてこの「軽微な工事」とは税込500万円未満の工事と規定されているためです。

仮に、税込500万円以上の防水工事を建設業許可なく請けてしまえば、無許可営業となり重い罰則(3年以下の懲役または300万円以下の罰金、法人の場合は1億円以下の罰金)の対象となってしまいます。

元請から建設業許可の取得を要請された場合

たとえ軽微な工事のみを請けている場合であっても、元請け企業から建設業許可を取得するよう要請される場合があります。

建設業ではコンプライアンス意識が高まっており、建設業許可を取っている事業者でなければ現場に入れないとするケースが増えているためです。

この場合において、今後もその元請け企業から工事を請けたいのであれば、現実的に許可申請へ動かざるを得ないでしょう。

自社の営業力を強化したい場合

自社の営業力を強化したい場合に、建設業許可を取得するケースがあります。

なぜなら、建設業許可を持っているということは、次で解説をする一定の要件を満たしているということになるためです。

そのため、建設業許可を持っていることは、一定のアピールとなるでしょう。

防水工事で建設業許可を取るための要件

防水工事で建設業許可を取るためには、次の5つの要件をすべて満たさなければなりません。

なお、ここでは、はじめて建設業許可を取得する事業者様の大半が申請することとなる「一般建設業許可」を前提として解説します。

要件1:経営管理責任者がいること

建設業許可を取るためには、経営管理責任者の存在が必要です。

経営管理責任者とは、建設業の経営を管理する責任者を指します。その立場上、原則として経営陣(個人事業の場合:個人事業主本人、法人の場合:監査役等以外の役員)のなかから選任しなければなりません。

経営管理責任者となるためには、建設業の経営経験が過去に5年以上あることが必要です。建設業の経営経験とは、たとえば次のものが該当します。

  • 建設業を営む個人事業主としての経験
  • 建設業を営む法人での役員(監査役等以外)としての経験

なお、経営経験を積む業種は、防水工事以外の業種であっても構いません。以前は許可を取ろうとする業種での経験かその他の業種での経験かによって必要年数に差が付けられていましたが、現在は5年で統一されています。

要件2:営業所ごとに専任技術者を配置すること

建設牛許可を取るためには、建設業の営業所ごとに専任の技術者を配置しなければなりません。

専任技術者は経営管理責任者と同一人物であっても構いませんが、営業所に専任である必要がありますので、他社の専任技術者などとの兼任はNGです。

また、必ずしも経営陣から選出する必要はなく役職のないいち従業員であっても構いませんが、仮に突然退職されてしまい他に専任技術者の要件を満たす人がいなければ許可を失ってしまいますので、できるだけ退職の可能性が低そうな人を選任したほうがよいでしょう。

専任技術者となれるのは、次のいずれかに該当する人です。

防水工事の現場経験が10年以上ある人

防水工事の現場経験が10年以上ある人は、防水工事の専任技術者となることができます。

なお、経営管理責任者とは異なり、防水工事ではない他業種での経験年数は、原則としてカウントすることができません。

ただし、防水工事の経験が8年以上あり、かつ建築工事業と防水工事業での経験が合計12年以上あるのであれば、例外的に専任技術者の要件を満たすことが可能です。

一定の資格を持っている人

次の資格を持っている人は、防水工事の専任技術者となることができます。

  • 1級建築施工管理技士 
  • 2級建築施工管理技士(仕上げ)
  • 職業能力開発促進法の「防水施工」 ※2級は合格後一定の実務経験が必要
  • 基幹技能者(登録防水基幹技能者、登録外壁仕上基幹技能者)※10年以上の実務経験を有することが受講資格の一つであり、この受講資格を満たした状態で受講された人が対象

一定の学歴と3年ないしは5年以上の防水工事の現場経験がある人

次に関連する学科を卒業し、かつその後3年もしくは5年以上にわたる防水工事の現場経験がある人は、防水工事の専任技術者となることができます。

  • 土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科を含む)
  • 建築学

必要な経験が3年であるのか5年であるのかの違いは、次のとおりです。

  • 学校教育法による高等学校もしくは中等教育学校の所定学科を卒業した場合:5年
  • 学校教育法による大学(短期大学を含む)もしくは高等専門学校の所定学科を卒業した場合:3年
  • 学校教育法による専門職大学の前期課程の所定学科を修了した場合:3年

要件3:欠格要件に該当しないこと

建設業許可には欠格要件が定められており、個人事業主本人や法人本体、法人の役員(監査役等以外)が欠格要件に1つでも該当してしまうと、許可を取得することができません。

建設業許可における主な欠格要件は、次のとおりです。

  • 破産して復権を得ていない
  • 過去5年以内に建設業許可を取り消されたことなどがある
  • 心身の故障により建設業を適正に営むことができない
  • 過去5年以内に一定の前科がある
  • 暴力団関係者である

このうち、「一定の前科」には、次のものが該当します。

  1. 禁錮以上の刑に処された
  2. 次の規定に違反して罰金刑に処された
    • 建設業法
    • 建築基準法、宅地造成等規制法、都市計画法など建設工事に関する法規
    • 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定
    • 刑法204条(傷害)、第206条(現場助勢)、第208条(暴行)、第208条の3(凶器準備集合及び結集)、第222条(脅迫)、第247条(背任)の罪
    • 暴力行為等処罰に関する法律

欠格要件は許可申請時に該当しなければよいわけではなく、許可取得後も仮に該当してしまえば、許可の取り消し原因となります。

そのため、許可取得後も該当してしまうことのないよう、注意が必要です。

要件4:一定の財産的基礎があること

建設業許可を取得するためには、次のいずれかを満たす必要があります。

  1. 申請日の直前の決算において、自己資本が500万円以上であること
  2. 500万円以上預金があること(金融機関の残高証明書で確認)
  3. 500万円以上の資金調達能力を有すること(金融機関の融資証明書で確認)

まずは直前の決算書類で「1」を満たしているかどうかを確認します。

「1」で要件を満たせなければ「2」を検討し、それも難しい場合に「3」を検討することが一般的でしょう。

要件5:必要な社会保険に加入していること

社会保険への加入は以前から許可申請に際して指導されていたものの、加入していないからといって許可がされないわけではありませんでした。

しかし、2020年10月1日から施行された改正により、適切な社会保険への加入が建設業許可の要件の1つに格上げされています。

そのため、現在は、適切な社会保険に加入していないと建設業許可を取得することができません。

加入すべき社会保険について国土交通省のこちらの資料で確認し、あらかじめ加入手続きを済ませておきましょう。

まとめ

ここまで、建設業許可を防水工事で取得するための要件について、詳しく解説してきました。

しかし、建設業許可の要件は多く、ご自身や自社が要件を満たしているかどうかの判断に迷う場合もあることでしょう。

また、申請時にはそれぞれの要件を満たしていることを証明するために膨大な書類が必要となりますが、慣れていなければこれらの書類を揃えることも困難です。

なごみ行政書士事務所では、知多半島や名古屋市、周辺地域の建設業許可申請を代行・サポートしています。

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